破折している歯を残すためのチャレンジ

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Vol.67 みなさま、メリークリスマス。岡山市南区妹尾のさとう歯科クリニック院長の佐藤公麿です。

 

我が家にもサンタさんがやってきて、5歳の息子はクリスマスツリーのふもとに、お手紙でリクエストしていたプレゼントが届いているのを見つけて、歓喜の踊りをしていました。もうすぐ5ヶ月になる娘には、お兄ちゃんがリクエストしたノンタンの妹(タータン)のぬいぐるみがやってきており、早速かぶりついていました。

サンタさんは、恐らくその姿を想像してほくそ笑んでいることでしょう(笑)。

 

 

当院では、重症な歯周病や根の先の病気のため、抜かないといけないほどダメージを受けた歯を、なんとか保存できる状態にして欲しい!という方がよく来られます。

 

そのような方の中で、患者さまがチャレンジで良いので自分の歯を残すために治療をして欲しい!とのご希望で破折している歯の治療をさせて頂き、まだ経過期間は短いものの今のところ良好に経過している症例を本日はご紹介させて頂きます。

 

右上側切歯の根の先に膿の袋ができており、原因として金属の心棒(メタルポスト)によって歯根中央部に穴が空いている状態でした。

 

 

被せ物およびメタルコアを慎重に除去したところ、歯に穴が空いており、垂直的な破折線が入っているのを確認しました。

根管内からの完全な封鎖は困難であり、保存困難との診断でしたが、患者さまのご自身の歯を残したいとのご希望があったため、予知性は不明瞭ではありますが、保存治療にチェレンジをさせて頂きました。

慎重に抜歯を行い、口腔外で破折部の封鎖をセメントで行ってから(患者様にはMTAセメントの使用について十分ご説明を行い、同意を得ております)、キレイに郭清した元の部分に戻しました(意図的再植)。

約1年間経過観察を行い、X線写真検査で初診時に認めたX線透過像が消失し、不透過性が亢進してきて臨床症状にも異常がなかったため、最終的な被せ物を作成させて頂きました。

 

 

最終的には単独の被せ物(元々は両隣の歯と3本連結されていました)で口腔機能回復治療をさせていただくことができ、定期的に注意深く経過観察をさせて頂いています。

治療期間が長期に渡り、私としては頑張って頂いた患者さまに感謝・感謝・感謝なのですが、何より末期的だった歯を残すことができたことに患者さまご自身がとても喜んでいただけたことにとても嬉しく思いました。

 

 

まだまだ、治療後の経過が短いため、予断を許さない状況ではありますが、今後も注意深く経過観察を行い、メインテナンスと必要に応じて噛み合わせの調整などを継続していく予定にしております。

本症例を通じて、原因を除去することができれば生体が体を治そうという力がダイナミックに働くこと、噛み合わせの調整の奥深さなど、私自身非常に多くのことを学ばせて頂きました。

 

破折した歯が本症例のように全て良好な状態に回復できるわけではありませんが、今後も歯を保存するためのチャレンジを最大限行っていくことを歯科医師としてのライフワークにしていきたいと思っております。

治療期間と治療費をご負担いただき、口腔衛生管理など患者さまご自身にご協力頂く事項は何点かありますが、歯でお困りの方がおられましたら、できる限りあなたの歯を残す努力を致しますので、お気軽にご相談下さい。

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【担当医】

佐藤公麿

【治療期間】

約2年半

【治療内容】

補綴物を除去後に歯内療法を行い、その後口腔内で破折部分の封鎖をMTAセメントを用いて行った後に意図的再植を行いました。十分な経過観察の後、オールセラミッククラウンにて口腔機能回復治療を行いました。

【費用】

意図的再植は、22,000円〜110,000円(税込)

※手術費用は重症度は使用材料などによって異なります。

ファイバーポスト:16,500円(税込)

オールセラミッククラウン:1本 88,000円〜154,000円(税込)

【リスク・副作用】

・手術後の出血、腫脹など、外科処置に伴う合併症のリスクがあります。

・再度歯根破折を起こす可能性があります。

・再植した歯が生着せず治癒不全を起こすことがあります。

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(臨床写真の掲載については、患者さまに掲出の同意を得ております。)

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