Vol.119
皆様、こんばんは。さとう歯科クリニック院長の佐藤公麿です。
美味しい食事は、私たちの人生において最も大きな喜びの一つです。しかし、虫歯や歯周病、あるいは不慮の事故などで歯を失ってしまうと、その喜びは途端に「噛めないストレス」へと変わってしまいます。
当院には、歯を失ってお悩みの方が数多くご相談にいらっしゃいますが、その多くの方が「もう一度、自分の歯があった頃のように、何も気にせずに思い切り食事を楽しみたい」という切実な願いを持たれています。
今回は、まさにその「噛める喜び」をインプラント治療によって取り戻し、治療完了から6年が経過した現在も、ご自身の歯のようにしっかりと噛み、充実した毎日を送られている50代男性の症例をご紹介いたします。
現在、歯を失って入れ歯が合わずに悩んでいる方、あるいはインプラント治療に興味はあるものの不安を感じている方に、少しでも希望を持っていただける内容になれば幸いです。
■ 患者様のお悩み〜「左側で噛めない」ことへの強いストレス〜
患者様は50代の男性です。ご来院いただいた当初、左下の奥歯3本(歯科の専門用語で5番、6番、7番と呼ばれる、小臼歯から大臼歯にかけての「ものを噛み砕くために最も重要な部分」)を失った状態でした。
「左下の奥歯がないため、右側でばかり噛んでしまい、顎が疲れてしまいます。以前、部分入れ歯を作ったこともあるのですが、食事のたびに動いてしまって痛く、食べ物が挟まるのも不快で、結局外して生活するようになってしまいました。友人と食事に行っても、硬いお肉や噛みごたえのあるものは避けるようになり、本当に食事が楽しくありません。なんとかもう一度、しっかり噛めるようになりたいのです」
カウンセリングルームでお話しされる患者様の表情からは、長年抱えてこられた深いお悩みと、食事に対する諦めの気持ちが伝わってきました。
奥歯は、食事の際に食べ物をすりつぶす「臼(うす)」のような役割を果たします。ここを失うと、胃腸への負担が大きくなるだけでなく、噛み合わせのバランスが崩れ、残っている健康な歯や顎の関節にも悪影響を及ぼしてしまいます。患者様は、まさにその悪循環に陥りかけている状態でした。
■ 診断と治療計画〜なぜ「インプラントブリッジ」を選んだのか?〜
精密なCT検査や噛み合わせの検査を行った結果、左下の顎の骨には十分な厚みと高さが残っていることが確認できました。患者様の「入れ歯の違和感から解放され、ご自身の歯のようにしっかりと噛みたい」という強いご要望を満たすため、当院ではインプラント治療をご提案しました。
今回採用したのは「インプラントブリッジ」という治療法です。
通常、3本の歯を失った場合、3本のインプラント(人工歯根)を埋め込むのが一般的だと思われるかもしれません。しかし、インプラントブリッジは、失った歯の両端にあたる部分(この場合は5番と7番の位置)に2本のインプラントを埋め込み、その2本を土台にして、3本分の連結した人工歯(ブリッジ)を被せるという方法です。
この治療法には、患者様にとって非常に大きなメリットがあります。
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お身体への負担を軽減できる: 手術で埋め込むインプラントの本数を3本から2本に減らすことができるため、手術時間や術後の腫れ・痛みのリスクを抑えることができます。
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費用を抑えることができる: インプラント体の本数が減る分、3本すべてをインプラントにする場合と比較して、治療費の総額を抑えることが可能です。
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清掃性が良く、機能的にも十分: 力学的な計算に基づき適切な位置に配置された2本のインプラントは、3本分の人工歯を支えるのに十分な強度を持ち、長期間にわたって安定して噛む力を発揮します。
丁寧なカウンセリングを通じて、これらのメリットや治療のステップ、リスクについてご説明したところ、患者様は深く納得され、「先生にお任せします」とインプラントブリッジでの治療を決断されました。
■ 治療の経過と、噛める喜びの劇的な回復
治療は、事前のシミュレーション通りに安全かつ正確に進行しました。当院では、インプラントを理想的な位置に埋め込むためのガイドシステムを使用し、外科的なダメージを最小限に抑えるよう細心の注意を払って手術を行いました。
インプラントが顎の骨としっかりと結合するのを待つ期間(約2ヶ月間)を経て、いよいよ最終的な被せ物(セラミック製のブリッジ)を装着する日がやってきました。当院がこだわっているのは、単に「歯を入れる」ことではなく、「周囲の歯と調和した美しい見た目」と「精密に計算された噛み合わせ」です。上質なセラミックを用いることで、天然の歯と見分けがつかないほどの自然な仕上がりとなりました。
装着後、噛み合わせの最終調整を行い、患者様に鏡を見ていただきました。 「おお……! まるで自分の歯が戻ってきたみたいですね」と、驚きと喜びに満ちた声が上がりました。
そして数週間後の検診日。患者様は、初診時とは見違えるような明るい笑顔でご来院されました。 「先生、昨日家族で焼き肉に行ってきました! カルビもタンも、左側の奥歯で全く気にせず噛み切れたんです。入れ歯の時のようにガタつくこともないし、痛みも全くありません。食事がこんなに美味しいと感じたのは本当に久しぶりです。思い切ってインプラントにして、本当に良かったです」
この瞬間が、私たち歯科医師・スタッフにとって最もやりがいを感じる瞬間です。
■ 治療から6年。現在のお口の状態と「長持ちさせる秘訣」
さて、インプラント治療において最も重要なのは「入れた後」です。インプラント自体は人工物なので虫歯にはなりませんが、歯磨きやメンテナンスを怠ると、歯周病と同じ「インプラント周囲炎」という病気になり、最悪の場合インプラントが抜け落ちてしまいます。
この患者様は、「せっかく取り戻した噛める喜びを、一生大切にしたい」と、治療後も当院の定期的なメンテナンスに欠かさず通ってくださっています。
インプラントブリッジを装着して機能回復を果たしてから、今年で丸6年が経過しました。 先日行われた定期検診でのレントゲン検査や歯周ポケットの検査でも、インプラント周囲の骨は全く吸収されておらず、歯ぐきの状態も極めて健康です。セラミックの被せ物にも欠けや摩耗は見られず、初年度と変わらない完璧な状態を維持されています。
「今では、左下はインプラントだということを忘れてしまうくらい、自分の身体の一部になっています。毎日の歯磨きと、さとう歯科クリニックでの定期的なクリーニングのおかげですね」と、力強く語ってくださいました。
インプラント治療を成功させ、長く持たせるための秘訣は、「精度の高い治療」と「患者様ご自身による日々のケア」、そして「クリニックでのプロフェッショナルケア(定期検診)」の3つが揃うことです。当院では、治療後のアフターフォローにも全力を注いでおり、患者様と二人三脚でお口の健康をお守りしています。
■ おわりに〜「噛める喜び」を諦めないでください〜
歯を失ったまま放置してしまったり、合わない入れ歯で我慢し続けたりしていると、食事の楽しみが奪われるだけでなく、全身の健康や生活の質(QOL)まで低下してしまいます。
今回ご紹介した50代男性の患者様のように、インプラント治療によって「もう一度、ご自身の歯のようにしっかり噛める生活」を取り戻すことは十分に可能です。6年経過した今も健康に機能し続けているという事実が、その信頼性を物語っています。
「硬いものを思い切り噛みたい」 「入れ歯の取り外しの煩わしさから解放されたい」 「人前で口元を気にせず、大きな口を開けて笑いたい」
もし、あなたが今、お口のことで同じようなお悩みを抱えていらっしゃるなら、どうか諦めないでください。まずは一度、さとう歯科クリニックへご相談にいらしてみませんか?
当院では、患者様お一人おひとりの状態やご希望にしっかりと耳を傾け、最善の治療法をご提案させていただきます。皆様が「おいしく食事ができる喜び」を取り戻し、笑顔あふれる豊かな人生を送るためのお手伝いを、スタッフ一同、全力でサポートさせていただきます。
いつでもお気軽にお問い合わせください。
【担当医】
【治療期間】
約1年間
【治療内容】
歯周基本治療を行った後、左下臼歯部に合計2本のインプラント埋入を行いました。 現在は、定期的なメインテナンスに移行しております。
【費用】
歯周基本治療(保険治療)
インプラント治療 1本約50万円(自由診療)
【リスク・副作用】
・非常に強い力で上部構造が欠けることがあります。
・不良な口腔衛生状態や過度の噛み合わせの力など、種々の要因によりインプラント体周囲に感染が起こる可能性があります。
・将来的に、顎骨の生理的な変化に伴い、インプラントの上部構造と周囲の歯の長さ、または歯と歯の隙間に不調和が生じ、上部構造のやり直しが必要になる可能性があります。
(※臨床写真の掲載については、患者さまより事前の同意を得ております。)




