重度の歯周病になられた方の歯周病治療_歯周組織再生療法

  • 歯周病治療

Vol.70 みなさま、こんばんは。岡山市南区妹尾のさとう歯科クリニック院長の佐藤公麿です。

 

本日は、重度の歯周病の方の治療例についてご紹介をさせて頂きます。

 

50歳代の女性の方で、主訴は『右下奥歯が欠けた』ということでお越しいただきました。

当院では、初診時に主訴部位の応急処置とともに、お口の状態を正確に診断するために、お口の写真を撮影したり、お口全体のX線写真を撮影したり、歯周病の精密な検査をさせて頂きます。

 

お口の中を拝見すると、全体的に歯石が沈着していたり、歯肉が腫れている部位が多数ありました。

 

X線写真検査では、主訴部位の右下第一大臼歯には歯髄に近接する大きなう蝕がありました。また、奥歯を中心に歯根の尖端にまで歯槽骨吸収が及んでいる部位が多数ありました。

 

歯周病の精密な検査を行うと、非常に深い歯周ポケットが存在しており、重度の歯周病に罹患されていることがわかりました。

 

これらの検査結果から、広汎型慢性歯周炎(ステージⅢ、グレードC)、二次性咬合性外傷と診断を行い、患者さまと歯科衛生士と連携して歯周病治療を開始しました。

 

 

治療方針としては、以下のように考えました。

1. 歯周治療を成功させるためには、患者さまご自身のブラッシング習慣が非常に大切であることをご説明し、積極的に患者さまにも治療に参加して頂くこと。

2. 歯周病が悪化する原因となっている歯石や、適合の悪い詰め物やかぶせ物(歯と詰め物やかぶせ物に段差や隙間があると、その部位に汚れが溜まってしまい、歯周病を悪化させてしまうため)を取り除くこと。

3. 揺れていて噛みにくくなっている歯の揺れを被せ物などを用いて固定し、食事がしやすいようにすること。

4. 最初に積極的な歯周病の治療を行なった後は、定期的にお口のメインテナンスにずっと通って頂くこと。

 

 

患者さまの非常に良好な口腔衛生(ブラッシングや歯間ブラシ)に大いに助けて頂き、動的治療は約2年で終了し、歯周状態は改善して、定期的なSPTに移行して現在で約1年が経過しております。

 

 

歯肉の腫れは消えて、引き締まった綺麗なピンク色の歯肉になりました。

最新のデンタルX線写真検査でも、歯槽骨吸収の進行は止まり、部位によっては歯槽骨の改善が見られます。

 

全体的には、歯周ポケットは浅くなり、出血部位も大きく減少しました。

一方で、左下第二大臼歯には、5-6mmの歯周ポケットが残存しており(歯周ポケットの正常値は3mm以下)、この部位は今後も注意深くチェックをしていく予定にしております。また、同部の出血が続いたり、歯周ポケットが深くなるなどの変化があった場合には、再治療も視野に入れています。

(当院では、定期的な受診の度に歯周組織精密検査を行なっています。患者さまにはご負担をお掛けしてしまっていますが、毎回検査を行うことで、歯周病が進行する予兆を知ることができるため、厳密な歯周病管理のためには必須と考えております。みなさま、ご協力ありがとうございます。例えばですが、歯周組織検査時の出血が3〜4回続く部位は、今後歯を支えている骨である歯槽骨の吸収が起こりやすいことがわかっています。)

 

 

とはいえ、左下第二大臼歯はまだ完全に良好な状態とはいえないまでも、ある程度状態が改善してくれたため、現状でもなんとかSPTで歯周管理できる状態になりました。

(もう少し歯を矯正治療で挺出させて歯槽骨のレベルを隣の歯と合わせれば、歯周ポケットはもう少し浅くなりそうです。今後、患者さまの同意が得られればおこなっていきたいと考えています。)

 

今後も、お口の健康を守るお手伝いができるよう、スタッフ一同日々精進していきたいと思います。

 

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【担当医】

佐藤公麿

【担当歯科衛生士】

村田

【治療期間】

動的治療は約2年間、その後は生涯にわたる口腔内管理を継続。

【治療内容】

歯周基本治療後に、歯周外科治療、口腔機能回復治療を行い、現在SPTを行なっています。

【費用】

本症例の歯周治療は、すべて保険治療の範囲内で行いました。

上顎前歯のブリッジのみ自由診療で被せ物を行っています(約100,000円)。

【リスク・副作用】

・歯周外科治療後の出血、腫脹など、種々の合併症を伴うリスクがあります。

・免疫力の低下や口腔衛生の低下など、歯周炎進行のリスク要因が高まれば再発のリスクがあります。

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(臨床写真の掲載については、患者さまに掲出の同意を得ております。)

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