【症例紹介】複雑な根管を持つ下顎第二大臼歯に対する精密根管治療 〜40代女性の2症例〜

  • 根管治療

Vol.99

皆さま、こんばんは。さとう歯科クリニック院長の佐藤公麿です。

 

「奥歯の根の治療を何度もしているのに、また痛みが出てしまう」

「抜歯しかないと言われたが、自分の歯を残したい」

そんなお悩みをお持ちの方に知っていただきたいのが、マイクロスコープとCTを活用した精密根管治療です。今回は、**下顎第二大臼歯(いわゆる「一番奥の奥歯」)**に対して当院で行った2つの症例をご紹介します。


■ 症例①:右下第二大臼歯の治療(40代・女性)

 

患者さまは、右下の奥歯が噛むと痛むという主訴で来院されました。これまでに何度か根管治療を受けた経験があり、「もう抜くしかないかもしれない」と不安を抱えておられました。

当院でCT撮影を行ったところ、**根の先端に大きな病変(骨の溶解像)が認められました。さらにこの歯は「樋状根(といじょうこん)」**という、複数の根管が帯状に連続した非常に複雑な形態であることが判明しました。

治療内容:

  • マイクロスコープ下での根管の徹底探索と拡大形成

  • 超音波洗浄・薬液洗浄による感染源の除去

  • バイオセラミックシーラーによる根尖封鎖

  • 治療後CTによる経過観察

 

結果:

治療後8ヶ月のCTでは、根尖病変は明らかに縮小し、骨の再生が進行し治癒傾向であることが確認されました。


■ 症例②:左下第二大臼歯の治療(40代・女性)

 

こちらの患者さまは、左下の奥歯に**サイナス・トラクト(膿の出口)**ができてしまい、他院で「抜歯の可能性が高い」と診断されていました。

CTおよびレントゲン検査により、根尖性歯周炎による病変が明らかになりました。

治療内容:

  • マイクロスコープによる再治療

  • 感染根管の徹底洗浄・消毒

  • 緻密な根管充填

  • 1年後のフォローアップ

 

結果:

術後1年でサイナス・トラクトは完全に消失し、レントゲンでは、病変も完全に治癒。補綴治療後も良好な咬合が維持されています。


■ 下顎第二大臼歯の根管治療は“難易度が高い”

 

下顎第二大臼歯(7番)は、根の数や形が非常に複雑で、一般的な治療では対応が難しいことがあります。

当院では、以下のような設備と技術を用いて対応しています。

  • マイクロスコープによる精密操作

  • CTによる立体的な診断

  • 再感染を防ぐ高性能材料(MTAなど)

  • エルビウムヤグレーザーを用いた根管内洗浄
  • 治療後の長期経過観察による術後管理

 


■ 精密根管治療の概要

  • 治療名:精密根管治療(再治療含む)

  • 治療費(税込):99,000円 〜 132,000円

  • 治療回数:2〜3回(症例により変動あり)

  • 担当医:佐藤 公麿(日本歯周病学会専門医・指導医)


■ 治療のリスク・注意点

  • 治療後に一時的な痛みや違和感を感じることがあります

  • 根の形状によっては完全な治癒が難しいケースもあります

  • 補綴(クラウン等)を行わないと再感染のリスクが高まります

  • 再治療が必要になる場合もあります

 


■ まとめ 〜“抜かない選択肢”をあなたに〜

 

「もう抜くしかない」と言われた歯でも、精密根管治療によって救える可能性があります。

私たちは、できる限りご自身の歯を長く保つための選択肢を提案しています。

  • 再発を繰り返している方

  • 抜歯を避けたいとお考えの方

  • 精密な診断と治療を受けたい方

 

ぜひ一度、ご相談ください。あなたの大切な歯を守るお手伝いをさせていただきます。

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