右下奥歯の痛みが消えた!マイクロスコープを使った精密根管治療とジルコニア補綴の症例

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  • 根管治療

Vol.96

皆さま、こんばんは。さとう歯科クリニック院長の佐藤公麿です。

 

今回は、右下奥歯の痛みを訴えて来院された40代女性の患者様に対して、マイクロスコープを用いた精密根管治療と審美的なジルコニアセラミッククラウンを装着した症例をご紹介します。

同じように「奥歯がズキズキする」「噛むと痛い」「何度も治療した歯がうずく」とお悩みの方にとって、参考になるかと思います。


初診時の状態:右下奥歯の違和感と痛み

 

患者様は「数日前から右下の奥歯にズキズキするような痛みがある」と訴えて来院されました。以前に治療歴のある歯で、金属の詰め物が入っており、レントゲンとCT画像にて精査を行ったところ、根尖(歯の根の先)に病変が確認されました。

これは「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」と呼ばれる状態で、歯の根の中の感染が原因で炎症が起こり、骨が溶けてしまう疾患です。


マイクロスコープを用いた精密根管治療

 

当院では、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を活用した精密根管治療を行っています。これにより、肉眼では見逃してしまう微細な根管や感染源を正確に把握し、徹底的な清掃・消毒が可能になります。

この患者様にもマイクロスコープを使用して、以下のような手順で治療を行いました:

  1. 古い充填物の除去

  2. ラバーダム防湿を行い、唾液などの細菌の侵入を遮断

  3. マイクロスコープ下で感染根管の拡大・洗浄

  4. エルビウムヤグレーザーによる根管内殺菌

  5. バイオセラミック系の根管充填材にて高密度の根管充填


術後半年の経過観察

 

治療から半年間は仮歯で経過観察を行いました。半年後の画像検査では、根尖部の透過像は著しく縮小し、骨の再生が認められました。臨床症状としても、咬合痛や違和感は完全に消失し、安定した状態が得られています。

このように、正確な診断と丁寧な処置を積み重ねることで、保存が難しいと思われた歯も残すことが可能になります。


最終補綴装置:ジルコニアセラミッククラウンによる審美補綴

 

根管治療が成功しても、その後の補綴処置が不適切であれば、再感染のリスクが高くなります。当院では、適合性が高く、強度と審美性に優れたジルコニアセラミッククラウンを使用しています。

この患者様には、根管治療後にファイバーコア(土台)を築造し、仮歯で経過観察後にジルコニアセラミッククラウンを装着しました。装着時には、接着力がより強くなるようにラバーダム防湿を行い、その後に接着阻害因子をエアーフローにて除去してから補綴装置の装着を行いました。

天然歯に近い色調と形態で、周囲の歯にも調和した美しい仕上がりとなりました。



まとめ:痛みの原因を的確に診断し、歯を残す治療を

 

歯の根の中は非常に複雑で、治療の成功率は使用する機器・材料、そして歯科医師の技術によって大きく左右されます。

当院では、CTやマイクロスコープを活用した精密根管治療によって、できる限り「歯を抜かずに残す」ことを目指しています。

奥歯の痛みや、過去に根の治療をした歯の違和感が気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。

 


【治療についての詳細】

担当医:佐藤公麿

治療期間:精密根管治療後の治癒を待つ時間も入れて約10ヶ月

※根管治療終了後も、治癒傾向を慎重に確認するために経過観察期間を長めに設けました。

費用:精密根管治療(既根管治療歯)132,000円(税込)

   ファイバーコア 16,500円(税込)

ジルコニアセラミッククラウン 154,000円(税込)

使用機器・材料

・歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)

・ラバーダム防湿

・エルビウムウムヤグレーザーによる殺菌・清掃

・ニッケルチタンファイルによる根管拡大・形成

・バイオセラミックシーラーによる根管充填


【リスク・副作用について】

 

・根管治療は精密な処置を行っても100%の成功が保証されるわけではありません

・根の形態が複雑な場合や破折がある場合には、**再発や外科的処置(歯根端切除など)**が必要になることもあります。

・治療後、一時的に咬合時の違和感や鈍痛が続く場合がありますが、ほとんどの場合は数日〜数週間で軽快します。


※本症例の写真および画像は、患者様ご本人の同意を得た上で掲載しております。

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