Vol.90
みなさま、こんばんは。岡山市南区妹尾のさとう歯科クリニック院長の佐藤公麿です。
本日は、「上の奥歯に骨が足りない」と診断された患者さまに対して、サイナスリフトという骨造成手術を行い、その後インプラントを埋入した症例をご紹介いたします。
患者さまは60代の女性の方で、「入れ歯はどうしても違和感があるので避けたい」とのご希望をお持ちでした。以前に右上第一大臼歯を抜歯されており、その部位でしっかりと噛めるようにしたいとのことで、当院を受診されました。
精密検査の結果、インプラント治療をご希望される部位(右上第一大臼歯部)は、長期間歯が無かったために上顎の骨が大きく吸収されており、骨の高さが非常に少ない状態でした。通常のインプラント治療では、インプラントをしっかりと固定するために十分な骨の高さが必要です。しかし、この患者さまのように上顎の骨が著しく薄くなっている場合、そのままではインプラントを支えることができません。
このようなケースで選択されるのが「サイナスリフト」という手術です。上顎には「上顎洞(サイナス)」という空洞が存在し、奥歯の上に位置しています。骨が吸収されると、この空洞との距離が近くなり、インプラントを安全に埋入できるスペースがなくなってしまいます。
サイナスリフトでは、この上顎洞の底部分を優しく持ち上げ、その下に人工骨を填入します。これにより、インプラントを安定させるための十分な骨の高さと厚みを確保することが可能になります。
手術は局所麻酔下で行い、術後の腫れや痛みも最小限に抑えるよう十分配慮して処置を行いました。術後の経過も非常に順調で、感染などの合併症も見られず、術後6ヶ月の時点で、X線およびCT画像にて骨の安定性が確認できました。
その後、計画通りに右上第一大臼歯部へインプラントを埋入し、現在はインプラントと骨がしっかりと結合するのを待っている状態です。
患者さまご自身も、「最初はインプラントはもう無理だと思っていたけど、あきらめずに相談してよかった」と、笑顔でお話しくださっています。
私たち歯科医師にとって、インプラント治療は「噛む機能の回復」だけでなく、「食事を楽しむこと」「健康を取り戻すこと」へとつながる大切な治療法です。年齢や骨の状態によっては難しいと思われる方も多いかもしれませんが、近年はサイナスリフトや骨造成といった技術の進歩により、対応できる症例が大きく広がっています。
【担当医】
佐藤公麿
【治療期間】
サイナスリフトからインプラント埋入まで 約6〜8ヶ月間
(上部構造装着まではさらに2〜3ヶ月)
【治療内容】
右上第一大臼歯部に骨の吸収が見られたため、サイナスリフトを行い、6ヶ月間の骨造成期間を経てインプラントを埋入。現在は治癒を待って上部構造の装着を予定しています。
【費用】
・サイナスリフト:220,000円〜330,000円(税込)
・インプラント埋入手術:187,000円(税込)
※保険適用外の自由診療です。
【リスク・副作用】
サイナスリフトおよびインプラント埋入には、感染・腫脹・出血などのリスクがありますが、適切な術前評価とアフターケアにより、リスクを最小限に抑えることが可能です。
※症例写真および情報掲載については、患者さまの同意を得ております。
当院では、年齢や骨の状態に関わらず、一人ひとりに合った治療計画をご提案しております。
「年齢的にもうインプラントは無理かも…」と悩まれている方も、どうか一度ご相談ください。サイナスリフトや骨造成を併用することで、再びご自身の歯のようにしっかり噛める未来が開けるかもしれません。
さとう歯科クリニックでは、地域の皆さまの「噛める幸せ」を支えるために、日々の診療に真摯に取り組んでいます。
お気軽にご相談ください。