差し歯による歯肉の黒い変色(メタルタトゥー)の治療方法

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Vol.65 みなさまこんばんは。院長の佐藤公麿です。

 

昔、治療した差し歯周囲の歯肉が黒ずんでいたりすることってありませんか?

この歯肉の黒い変色の多くはメタルタトゥーと呼ばれ、見た目に問題を生じることが多くあります。

 

保険診療で製作した差し歯は、メタルコアという金属を用いた土台を使用していることが多くあります。このメタルコア、耐久性に優れ、費用も比較的安価であることから、使い勝手も良いのですが、金属アレルギーやメタルタトゥーを引き起こすリスクを避けることはできず、当院では開業以来、一度も使用しておりません。

 

そもそも、なぜメタルコアという金属の土台を入れたために歯肉が黒く変色してしまうかというと、長期間お口の中に歯科用合金が存在することによって、様々な刺激が加わり金属イオンが溶出し、その成分が歯肉に沈着することで変色を引き起こしてしまいます。

また、上記以外にも過去の歯科治療で金属片や金属の切削片が歯肉の中に入り込んでしまい、そのまま後々メタルタトゥーとして残ってしまう場合もあります。

 

これらのメタルタトゥーを改善する方法としては、メタルタトゥーの原因となっている金属の除去(メタルコアの除去など)を行った上で、以下のような方法があります。

①エタノールなどの薬剤を使用して歯肉の新陳代謝を促し、正常な色の歯肉へとターンオーバーさせる方法

②医療用レーザーを用いて除去する方法

③歯肉の深部にまで金属が入り込んでいる場合は、結合組織移植や遊離歯肉移植を用いる方法

 

 

本日は、昔差し歯を入れた歯の周りの歯肉が黒く変色しているメタルタトゥーへの対応をした症例をご紹介させて頂きます。

 

20歳代男性の方です。

左上第二小臼歯と第一大臼歯周囲の歯肉にメタルタトゥーを認めました。

かなり、深くまで金属による変色を認めたため、本症例では、上記③の遊離歯肉移植術を用いたメタルタトゥーの改善を計画させて頂きました。

 

同部のデンタルX線写真検査を行ったところ、メタルコアが入っており、同部の除去から開始させて頂きました。

 

 

メタルコアを除去すると、その下は虫歯にもなっており、遊離歯肉移植術を施術する前に、隔壁を作成後、歯内療法、そして仮歯作成を行いました。

その後、メタルタトゥーの除去とともに遊離歯肉移植術を行いました。

 

 

 

初診時、黄色の矢印のように黒く変色していた歯肉も、治療後は周りの歯肉の色と同じきれいなピンク色の歯肉になりました。

現在、歯肉の改善後に、金属を用いないメタルフリー治療で対応をさせて頂き、定期的なメインテナンスにお越しいただき経過観察をさせて頂いています。

 

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【担当医】

佐藤公麿

【治療期間】

差し歯の除去&歯内療法に3回、メタルタトゥー除去&遊離歯肉移植術に1回、その後被せ物の装着に2回通院頂いています。

【治療内容】

差し歯の除去&歯内療法、メタルタトゥー除去&遊離歯肉移植術、その後ファイバーポスト&オールセラミッククラウンを装着しました。

【費用】

自由診療 約30万円

(メタルタトゥー除去&遊離歯肉移植術、ファイバーポスト&オールセラミッククラウン2歯)

【リスク・副作用】

・歯周外科治療後の出血、腫脹など、種々の合併症を伴うリスクがあります。

・オールセラミッククラウンは過度の力がかかった場合、破折することがあります。

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(臨床写真の掲載については、患者さまに掲出の同意を得ております。)

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