歯髄(神経)を守る:生活歯髄療法(VPT:Vital Pulp Therapy)

Vol.50

皆さま,こんばんは。岡山市南区妹尾のさとう歯科クリニック院長の佐藤公麿です。

 

当院では,『お口の健康を守り、人生を健康で豊かに』ということを医院理念としています。

 

そのため,痛いところだけを治療するのではなく,十分な診査をした上で,

なぜそのような状態になったのか原因を考え,原因を取り除いた上で治療を行うことを心がけています。

さらに,原因を取り除き,しっかり治療を受けていただいた後は,お口の状態を健康に保つために,

『治療のため』ではなく『予防のため』に歯科医院に通っていただくことを全ての患者さまにお勧めしています。

 

 

メインテナンスで予防のために定期的に歯科医院に通院することによって,

健康な歯を生涯にわたって守れることがすでに実証されています。

スウェーデンのアクセルソン先生の報告(Axelsson P, Nyström B, Lindhe J., J. Clin. Periodontol, 2004)によると,

定期的にメインテナンスを行った方は,30年間に失った歯の平均は,

・20〜35歳:0.4本(50〜65歳までの間)

・36〜50歳:0.7本(66歳〜80歳までの間)

・51〜65歳:1.8本(81歳〜95歳までの間)

 

ただし,むし歯と歯周病はメインテナンスを行うことでかなり予防できるようになっていますが,

歯根破折によって歯を失うことを防ぐことは,非常に困難であることもわかっています。

また,歯根破折をしてしまう歯の多くは歯髄(神経)を取っている歯(無髄歯)であることも明らかになっており,

できるだけ歯髄を保存すること(神経を抜かないこと)が非常に大切と言われています。

カプラン先生らの報告(Caplan DJ, et al, J Public Health Dent, 2005)によると,

8年の経過観察期間で(平均6.7年),根管治療を行った歯の喪失リスクは,

・前歯部:1.8倍

・臼歯部:7.4倍

 

当院でも極力歯髄を保存するために,以前から生活歯髄療法(VPT:Vital Pulp Therapy)を行っており,

泉英之先生の著書『治る歯髄治らない歯髄 歯髄保存の科学と臨床』をバイブルとしていました。

 

その泉先生がODC主催の講演会で岡山にいらっしゃるということで,本日はその講演会に参加させて頂きました。

豊富な臨床写真や動画、多くの科学的根拠に基づいたデータとともに色々なエピソードも交えながらのご講演で,

丸一日という長い時間があっという間に過ぎてしまいました。

書籍を読んだだけでは十分理解できていなかった内容が,とても整理できて学びの多い一日でした。

ODCの先生方,運営・主催頂きありがとうございました。

 

最後に,当院で今までにVPTを行った方の症例をまとめつつ,

今日の講演会を明日から活かせるように精進したいと思います。

(臨床写真の掲載については,患者さまに掲出の同意を得ております。)

 

 

最初の症例は,右下の第二小臼歯のむし歯を主訴に来院された患者さまです。

デンタルX線写真で,歯髄に近接するむし歯を認めましたが,歯髄は生きており保存できると診断して

MTA(Mineral Trioxide Aggregate)というセメントを用いてVPTを行いました。

現在,術後1年とまだまだ経過が短いですが,良好な経過にてメインテナンスで通院していただいています。

 

 

次の症例は,左上の側切歯の歯髄に近接するむし歯の治療を行った患者さまです。

う蝕象牙質を全て取り除くと,歯髄に達していたため,部分断髄を行い,

MTAにてVPTを行いました。

術後症状もなく,1年以上良好な経過でメインテナンスにて経過観察をしています。

 

 

お口の健康を守り,人生を健康で豊かに。

 

さとう歯科クリニックでは,可能な限り歯髄を保存する治療に取り組んでいます。

※診査・診断の結果,歯髄を保存できないこともございます。

ページの先頭へ戻る